海外旅行が随分と過去のような気がしてくる昨今。遠くなった世界をより身近に感じれる本たちを紹介していきます。
吉本ばななさんの書いた“世界の旅”を舞台にした小説を4冊+ハワイの物語を読んでみました。
今回紹介する吉本ばななさんの世界の旅シリーズは、全て実際に旅先へ訪れて、そこで見た景色や風景、エピソードなどをもとに生まれた小説です。
それでは、著者の見た異国の世界を一緒に旅をしていきましょう!
マリカのソファー・バリ夢日記 世界の旅①
旅のあらすじ。
多重人格を抱える女の子マリカと隣で見守る母親的存在のジュンコ。不思議な関係性の2人がマリカの願いでバリ島へ旅行に行くことに。
バリ島の南国情緒あふれる雰囲気とマリカの深い悲しみと僅かな歓喜の光を描いた小説。
本の後半では著者自身がバリ島へ旅をする旅日記的エッセイ。小説のモデルとなった風景・情景を感じながらバリ島気分を味わえる一冊。
1冊で小説とエッセイの両方が楽しめる嬉しい一冊。バリ島の不思議な魅力に魅せられます。
SLY(スライ) 世界の旅②
旅のあらすじ。
朝まで友人たちとのパーティー。目を覚ました午後に清瀬は、HIVが陽性になったと元彼に聞かされる。
生と死の絶望の最中、その元彼や友人たちと先の希望の見えないエジプト旅行へ誘われることに。
何もかもが圧倒されるエジプトの情景や文化。死を連想させる遺跡やミイラを観光する中でも日常の光を味わっていく彼らの友情が導く運命とは。
旅行の独特な雰囲気。ソワソワした感じ。ふと我に返ったり、物思いに耽る時間。彼らと一緒に旅をしているように感じられる一冊でした。
不倫と南米 世界の旅③
旅のあらすじ。
熱狂と官能の街、南米のブエノスアイレスを舞台に7人の狂おしい恋と、胸を動かされる家族の絆を描いた短編小説。
著者が実際にブエノスアイレスを訪れ、旅先で作り出された7つの物語。
途中に差し込まれるアルゼンチンの写真や引き込まれるイラストがより物語の旅へと誘います。
南米の蒸し上がるほどの暑さとそれぞれの主人公が抱える葛藤が合わさり、ブエノスアイレスの旅の魅力を増大させてくれます。
虹 世界の旅④
旅のあらすじ。
タヒチ料理を出すレストラン「虹」。故郷の風景にそっくりなこのレストランでウェイターとして働く瑛子。
今の仕事を気に入っていた彼女だったが、突然の母の訃報により心身の不調をきたす。
複雑な心境を抱えながら、心の休養を取るため念願であったタヒチへと旅立つ。そこで思い出す亡き母や祖母との思い出、大切な仕事、踏み出せない恋人との迷い。
タヒチの情景が目に浮かびながら、主人公の心情に自分が溶け込んでいくように感じる小説です。いろいろ疲れて頑張っている人に読んでもらいたい。そしてタヒチにも行ってもらいたいです。
まぼろしハワイ
旅のあらすじ。
パパが死んで傷心中のオハナ。義理の母でありフラダンサーのあざみとハワイに行くことに。
あざみの育ての親であるマサコの永遠の踊りに出会い、薄青い空、濃い緑、白く尖った波を眺めるうちに、涙の日々に変化が訪れる。
パパはもういなけど、人生は進むのだ。
ハワイを舞台にした3つの愛の物語。
世界の旅シリーズではありませんですが紹介させてください。それぞれの家族の形、人との関わり合いが泥団子のように汚くて美しく輝いてみえたハワイのお話。
最後に
今回は、吉本ばななさんの世界の旅シーリズ4作品+ハワイの旅物語を紹介しました。
全ての本では、旅先の風景写真や原マスミさんによる独特で個性的なイラストが散りばめられています。読んで楽しい見て楽しい本です!
その他にも吉本ばななさんの著書には旅を舞台にした小説や旅エッセイなどもあるので紹介していきたいです!
おしまい。
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